原材料
タオメオ
Docynia indica

タオメオ(táo mèo、tao meo や sơn tra とも書かれます)は、ベトナム北西部の高い山々に自生する、小さくて酸っぱい野生のリンゴです。モン族の人々は何世代にもわたってこの実を摘み、主に米の蒸留酒に漬け込んできました。私たちは、それを発酵させることにしました。
私たちのボトルでこの名前を見かけたり、バーで耳にしたりして「何だろう?」と思った方のために、このページを書きました。ひとことで言えば、タオメオはベトナムで「サイダー用リンゴ」にもっとも近い果実。しかも、誰かがそう呼ぶずっと前から、この土地に育っていたのです。
果実について
タオメオはバラ科の樹木 Docynia indica の果実で、リンゴ、ナシ、マルメロと同じ科に属します。本当のリンゴ(Malus 属)ではありませんが、ごく近い親戚です。だからベトナム語では táo(リンゴ)と呼ばれ、日本からの旅行者には「ベトナムのリンゴ」として知られ、昔の植物学者はマルメロの属 Cydonia に分類していました。
木はソンラ、イエンバイ、ラオカイ、ライチャウの標高1,000〜2,000mの、冷たく霧深い山腹に自生しています。ムオンラ近郊には樹齢数百年の群生地もあります。名前は、この木が育つ土地に暮らし、今も収穫の大半を担うモン族の古い呼び名「Mèo」に由来すると言われています。
2〜3月に白い花を咲かせ、果実は8月下旬から10月末にかけて熟します。熟した実は直径2〜3cm、丸いかやや卵形で、黄緑色にピンクや赤の頬紅がさし、地面に落とすと跳ね返るほど硬いのが特徴です。
生のままかじると、まず鋭い酸味、次に口の中が乾くような渋み、そしてその奥にはっきりとしたリンゴとマルメロの香り、ほのかな蜂蜜の甘い香りが広がります。そのまま食べるには酸っぱすぎる——でも、それこそが優れた発酵飲料になる果実の条件なのです。
ベトナムでの使われ方
北西部の人に聞けば、最初に返ってくる答えは決まって「ルオウ・タオメオ(タオメオ酒)」です。丸ごと、あるいは半分に切った実を米の蒸留酒に漬け込み、ときには砂糖を加えて何か月も寝かせます。できあがるのは琥珀色で甘酸っぱく、しっかり強いお酒。ソンラやイエンバイでお客をもてなすときに注がれるのがこれです。旅行者がお土産に持ち帰ることも多く、ドイツや日本からの旅行者が到着前から調べてくるほどです。

二つ目の使い方は乾燥です。薄く切って天日で干したタオメオは、お茶として煎じて飲まれ、伝統医学でも漢越語名の「ソンチャー(山楂)」として用いられてきました。果実酒の瓶からお茶のポットまで、タオメオは山の暮らしにすっかり溶け込んでいます。
三つ目はもっと新しい使い方です。この10年ほどで、タオメオは森で採るだけの木から、植えて育てる木にもなりました。ナムギエップのような村では、野生の実を摘むのと並行して家々がタオメオを栽培するようになり、その果樹園はこの地域に良い変化をもたらしています。
発酵に向いている理由
ヨーロッパで最高のサイダー用リンゴは、食べるためのリンゴではありません。小さくて酸っぱく、渋みが強く、誰も生でかじろうとは思わない実。冷涼な丘陵地で育ち、生食に向かないその性質こそが価値とされてきました。タオメオはまさにそういう果実で、しかもベトナムに自生しているのです。
決め手は三つあります。
- 酸味。 最初からしっかり酸っぱいので、できあがった飲み物は、糖がなくなると平板で甘ったるくなりがちな多くのトロピカルフルーツと違い、明るくドライな味わいを保ちます。
- タンニン。 生のタオメオを食べにくくしている渋みが、発酵飲料に骨格と長い余韻を与えます。赤ワインや本格的なドライサイダーでタンニンが果たすのと同じ役割です。
- 香り。 リンゴ、マルメロ、ほのかな蜂蜜の香りが発酵後も残るので、「ただのアルコール」ではなく、ちゃんと果実の味がします。
タオメオ酒は、果実を蒸留酒に漬けることで個性を得ます。サイダーは、野生酵母に果実自身の糖を食べさせることで個性を得ます。後者の方法で生まれるのは、蒸留酒ではなくサイダーの度数の、より軽くドライで泡立つ飲み物。米の酒ではなく、果実そのものに語らせる造り方です。
では、これはサイダーなのか?辞書的に言えば違います。リンゴが入っていないのですから。でも、ドライなファームハウススタイルのサイダーがお好きなら、この土地固有の果実から造られたものとしては、もっとも近い一杯だと思います。
Bazanでの造り方
私たちのタオメオは、ベトナム北西部ソンラ省で8月から9月に収穫されたものを仕入れています。実は丸ごと山から下ろされ、すぐに天日で乾燥させます。
その後、約3週間発酵させ、この地方の伝統的なスパイスを加えて炭酸を封じ込め、最低4週間熟成させます。できあがるタオメオサイダーはアルコール約4.8%、ミディアムドライです。
グラスの中には、酸味のあるリンゴの味わいと、この土地ならではの豊かなハーブの風味。シーフードによく合いますし、そのまま一杯だけでも十分に楽しめます。
よくある質問
タオメオとは何ですか?
タオメオ(táo mèo、別名ソンチャー)は、ベトナム北西部のソンラ、イエンバイ、ラオカイ、ライチャウの高地に自生する樹木 Docynia indica の果実です。小さくて非常に酸っぱく渋みがあり、伝統的に果実酒やお茶に使われてきました。
タオメオはリンゴですか?
ほぼリンゴです。リンゴ、ナシ、マルメロと同じバラ科ですが、属が異なります。リンゴの「山に住む野生のいとこ」と考えてください。
名前にはどんな意味がありますか?
táo はベトナム語で「リンゴ」。mèo はこの木が育つ山岳地帯に暮らし、今も収穫の大半を担うモン族を指す古い呼び名です。つまり「モン族のリンゴ」といった意味合いです。
タオメオ酒(ルオウ・タオメオ)とサイダーは何が違いますか?
タオメオ酒は果実を米の蒸留酒に漬け込んだ伝統的なお酒で、作り手によりますが度数は25〜40%ほど。Bazanのタオメオサイダーは漬け込むのではなく果実そのものの糖を発酵させて造るため、ずっと軽やかで、アルコールは約4.8%、微発泡です。
Bazanのタオメオサイダーは本当に「サイダー」ですか?
サイダーと同じ製法で造り、飲み口もドライなサイダーそのものです。厳密にはリンゴ(Malus属)は使っていないので、こだわる方なら「発酵フルーツドリンク」と呼ぶかもしれません。私たちはタオメオサイダーと呼んでいます。サイダー好きの方なら、きっと馴染みのある味わいです。
どこで飲めますか?買えますか?
現在、取り扱いのあるバー、レストラン、ショップのリストを準備中です(取扱店ページをご覧ください)。それまでは、お問い合わせいただければお近くの取扱店をご案内します。
タオメオの旬はいつですか?
2〜3月に白い花を咲かせ、8月下旬から10月にかけて収穫されます。北西部の景色がもっとも美しい季節でもあるので、旅の計画にもおすすめです。
